超凡人サラリーマンのためのビジネス書ベスト100

意識が低すぎず高すぎず、大きすぎず小さすぎず普通の会社に勤めるサラリーマンが、大量に読んだビジネス書の中から本当に普通の人でも役に立つ、みんなが知らない意外な百冊を紹介していきます。

性格の科学的な扱い(ビッグファイブ)を述べた本はわずかしかなく、ほとんどがオカルト

性格と成功を結びつけたり、リーダーシップを説いたり、そうした本はかなり多いですが、その性格の分類は何に基づくものがよいのでしょうか?

流石に動物占いでは信じる気持ちが湧いてきづらいですよね。

 

性格の分類といえば、いまの心理学の分野ではビッグファイブと相場が決まっています。

これは性格を表す言葉を因子分析してでてきた5つの性質で、のちに神経物質の多寡などとの結びつきも明らかになり、一層科学的根拠が集まってきている分類です。

比較的科学なものとしては

ミネソタ多面人格目録(ミネソタためんじんかくもくろく、Minnesota Multiphasic Personality Inventory)は、質問紙法の心理検査で、英語名の頭文字をとってMMPIとも呼ばれる。

ミネソタ多面人格目録 - Wikipedia

もありますが、これもいまはDMSにとってかわられつつあります。

 

見かけが科学っぽいのでよく使われますが、今は信頼性が否定されている分類としては

MBTI(Myers–Briggs Type Indicator、マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標)

があります。

MBTIの診断は、科学的な心理測定の観点においては、特に次の4つの点から著しい不備があるとされ、疑似科学として批判の対象となっている[7][8][9][10]。1つ目は、測定対象を測定していない、予測力がない、一般化できる項目がないといった有効性に乏しい点。2つ目は、同じ人物にも関わらず、異なる機会にMBTIを受験すると異なる結果が出てしまうという信頼性に乏しい点。3つ目は、互いに相関する特性を独立したものとして測定しているという点。4つ目は、神経症傾向という特性が含まれていないため、性格診断において包括的なものではないといった点である(#批判を参照)。

 

4文字のアルファベットで表されるやつですね。これは日本よりアメリカでむしろかなり定着していたようで、一種の血液型占い的な知名度があったようです。

とはいえ日本でも検索すると就活サイトが出てくるぐらいなので、まだ科学とみなしているところも多々あるのでしょう。

ユングがもとになっているという一文でピンとくる人はピンとくるというか、あくまで帰納的、かつ、えいやーっと個人のフィーリングをもとにしてそう、と思えるのが正しいです。(私自身はフロイトユングも好きですが)

 

さて、ビッグファイブという明確な指標があるにもかかわらず、それを活用したビジネス書は多くはありません。ビッグファイブそのものについて詳述した本はビジネス書要素や自己啓発要素を含んだものが少ないとも言えます。

 

ビッグファイブについてある程度自己啓発的な視点を含んで包括的に述べた本

 

ビッグファイブをもとにした指導についての記述がある本

 

正直わずかしかないんですが、さすが腐ってもマッキンゼー。科学的管理を旨とするという感じでしょうか。

 

 

最近本屋で並んでいるFFS

 

 

 

ソニー、ホンダ、LINE……大手企業が人材活用に採用する「FFS理論(※)」
(※「FFS(Five Factors and Stress)理論」とは、「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」の5つの因子の多寡とその順番を通して人間の潜在的な強みを把握する、小林惠智博士が開発した理論です)

だそうで、かつ作者さんは

1950年生まれ。国際基督教大学を経て、ウィーン大学基礎総合学部哲学専修科(修士課程)修了。モントリオール大学国際ストレス研究所で専門研究員。ストレス学説創始者ハンス・セリエ博士のもとで「ストレスと性格特性」に関する研究に従事。フロリダ州立大学社会心理学研究室で実験心理学を専修。教育学博士。ノースウェスタン大学組織経済学研究室、組織および教育経済学研究および客員教授。経済学博士。 米国・国防総省ペンタゴン)国際戦略研究所 組織戦略・組織編制専門研究員として「最適組織編成プロジェクト」に参加しFFS理論(最適組織編成の為の個性分析と組織編成法)を提唱した。

だそうです。経歴はスタートこそ哲学科ですが、教育学で博士号をお持ちですし、そこまで怪しい経歴とは言えません。

hirayama-ns.jp

 

しかし、上の「あなたの強み」なんかを読むと、なかなか腑に落ちない感じが続きます。

このうち「保全性」と「拡散性」が気質的(遺伝的)だとされています。保守性と積極性みたいな感じのファクターなのですが、ビッグファイブで言う開放性の軸に近いです。そこにいわゆる合理を重んじるかどうかの「弁別性」、あとはべき論を重視する「凝縮性」、寛容さを表す「受容性」があるという感じで、それぞれの軸自体はどのタイプの性格診断でも出てくるものの、なんというか「Aというときもあるし、Bというときもあるな」という気持ちになってしまって、全然活かせる気持ちになりませんでした。開放性自体が私はビッグファイブだと高くなるのですが、「保全性」と「拡散性」についての質問に関してだと「保全」の方に入るんですね。おそらく仕事にフォーカスしている都合上、職場の環境なんかで答え方が変わるということなんじゃないかなと。そこはそれと思いつつ、個人的にはなかなか活かせる感じはしませんでした。

 

強み系でいえば

 

こちらのほうがよさそうな気配はあるのでいずれ読んでみようと思います。