と
が、実はほぼ同じ内容でした。著者もふたりともコーチングをやっていて、背景にはNLPがあるようですね。
NLPは、心理学のベースを持ちつつ、割と古い時代の知見に由来するものなので、疑似科学とされることもあります。精神分析が考案当時は医学の一環でしたが、今は非主流であることと似ています(日本以外ではいまだに結構メジャーというか、南米とかではかなり病院があるようですが。逆に日本でも、臨床心理士の教科書に森田療法が載っていたりと、必ずしも科学的な背景を持たないものが一定のリスペクトを受けてはいます。)
自己啓発本では、タイトルとかに載っていなくても、定番のネタです。逆にタイトルにNLPを謳ったものではベストセラーはないような気もします。
応用範囲も広く、ビジネスでの交渉術系、人とのコミュニケーション系、リーダーシップ系、恋愛に応用してナンパの本なんていうのもありますね。
心理学とNLPを同一視したり、その一分野としたりしている書き方の本は、ある意味学問的な厳密性はないと思って良いと思います。最近の自己啓発本はエビデンスベースのものが多いので、そちらより胡散臭いと思う感覚があるのは非常に妥当だと思います。
ある意味胡散臭さを印象づけるために挙げると、この著者は「NLPナンパ」を唱えています(著者は慶應義塾出身だそうです)。より新しいナンパ本の系統の「恋愛工学」流派でもちょっと入っているのかな? NLPという単語が出てきたか、記憶にないです……。
こちらは定番のシリーズですが、NLPネタは3冊出てるので、人気があるのだと思います(この本はわかリ易いいい本だと思います)
これらの本はNLPを背景にあるから嘘?
個人的には、よりよい本があればそちらを探すのだが、実はない。なので、NLPコーチングも悪くない、というスタンスです。
個人相手に具体的に働きかけるテクニックで、かつ著者が複数人をコンサルタントした経験がある、(セミナーやってるだけ、よりは良さそうです)かつ、訂正可能性がある中での試行錯誤をもとにしている(スピリチュアル系は、本人が勉強しているつもりでも、試行錯誤の中で良くなっていく、ということはないので、この点ではNLP系のほうがややましでしょうか。)という点で、NLPコーチング系の本は、悪くはないと思います。
コーチングは、講演活動のみとか、占いとかよりはかなり具体的で、目標が達成できたかどうかという結果がありますから、訂正可能性のある営みだとは思います。
ちゃんとした心理学ベースの知見が日々更新されると様々あるわけですが、結局こうしようぜ!という実践的なまとめを求めると、著者の経験の多寡で判断せざるを得ないと思うのですね。
Daigo本とか樺沢紫苑とかは、NLPネタは多分あんまりないと思うんですが(少なくとも樺沢紫苑は医師であり、どちらかといえば脳科学寄りの知見をベースにしていますので、読んでいる限りNLPネタはないと思います)、基本的には科学的知見+個人の経験です。樺沢紫苑の場合は医師なので臨床的な知見もありますが、健康(特にメンタルヘルス)に関わること以外でいうと、自分の経験がベースになっているはずです。Daigo本はかなり売れていると思いますが、指導をしているわけではないので、あくまでまとめ本になります(といっても、これは海外の自己啓発系の本も同じです。ダニエルコイルとか。ですから別にいい悪いではなく、好みの問題です)。
ここで、あくまでまとめ本を選ぶか、学問的な厳密性(正直当該分野の専門家が書く場合以外は、ただの切り貼りだと思いますけどね)を犠牲にしつつ、ある程度の数の実践経験がある人を選ぶかは、個人の趣味の問題ではあろうと思います。
学問的に厳密なコーチングをしている人がいればいいんですが、私はまだ見つけてはいません。NLP以外でいうと、アサーションがベースになっていることが多いかなとは思います。アサーションはまさに臨床心理士なんかでも必ず出てくる概念ですから、NLPよりかなりエスタブリッシュメントと思っていいでしょう(というか、コミュニケーション系の自己啓発本を読む人で、アサーションのことをよく知らない人は、一度まとめて読んだほうがいいです)
こちらは割とアサーション寄りだった記憶があります。
いつものシリーズです。とっかかりとしては素晴らしい内容です。
これはスポーツ選手のコーチですが、理論的なコーチングを学んだ方なので、スポーツの例のほうが見に入るという方はこちらを読むとよいでしょう。
コーチングとリーダーシップについて
コーチングについて私はさほど知識があるわけではありませんが、チームワークについての本を読んだときに、リーダーの基本的なスキルとしてコーチングの技術があげられていましたので、いわゆるリーダーシップ系の本でも近いネタはあるかもしれません。
(すみません、どの本か思い出せず……。見つけたらリンクします)
ただし、チームワーク系の本はいわゆるGoogle系の心理的安全性が今は主流なので、あんまりこのあたりちゃんと書いている本もありません。ですから、トップに挙げた本を読んでみるのもいいとは思います。
ノート術系
これは全然詳しくないので、そのうち埋めるために項目立てしたものですが、目標達成系の本にはノート術とでもいうべきジャンルがあります。どうもNLPと習慣化ネタ、イメージの力ネタなんかを具体的に落とし込むとこういった本になるようです。私はまだあまり読んでいませんが、著者が実践指導した人が多いなら、案外悪くないのかもしれません。
WOOPによるネガ潰し
ノート術に関連するもので注目すべきものを見つけたので追記します。WOOPです。
WOOPについては
こちらの本の中に登場しています。3章がいわゆるGRITやWILLPOWER系の自己啓発について科学的根拠を探す内容になっています(この本では、各章がいわゆる自己啓発本=SELFHELPのジャンルに対応している本で、総まとめ的になっています。)
WOOPで言われているのは、いわゆる夢を達成した姿を思い描くだけではダメで、その障害を具体的に阻むものをイメージし、潰すようにアクションに落とし込むことが必要だということです。wish outcome obstacle planの略でWOOPとのこと。obstacleがないとダメだというのが新味ですね。
planに落とし込んでからはいわゆるGRIT系だったりWILLPOWER系の本が使えると言って良いでしょう。
具体的に目標が定まってからの意志力・GRIT・目標設定系については、いわゆる疑似科学っぽい本ではなく普通の本が一通りあるので、別の記事にまとめています。
やり抜く力(GRIT)、意志力(GRITWILLPOER)、モチベーション管理系の本まとめ - 超凡人サラリーマンのためのビジネス書ベスト100
脱線しました。
WOOPの法則については、下記の本が提唱者ということで紹介されています。
が、NLP系として紹介した上述の本に近い概念が登場しています。
いわゆるメンタルブロックやスコトーマ(『神メンタル』はこれを使っています。あとは苫米地英人もスコトーマという言葉を使うようです。苫米地英人は、政治的な発言があったり、なんだか偏った本が多くて、自己啓発本の著者の中でも私は敬遠してしまっていますが……。)がそれにあたります。
そこでは「思い描くだけでいい」だったりするのですが、実際は思い描けない、なぜかというとメンタルブロックがあって……という論法があり、NLPでそれをどうやって外すかというような流れになっていきます。
ただし、あくまで思い描くだけでいいとなっているのは少しスピリチュアル系で、コーチング系だとアクションに落とし込むイメージがあります。
ですから、目標達成系でWOOP系+GRIT系のノート術があってもいいかなと思ったのですが、果たして、メンタリストDAIGOがそのようなノート術を出しています。
まだ内容が確認できていませんが、現状で一番疑似ではない研究に基づくノート術なので、まずノート術がほしいという場合はここから手を付けていいのではないでしょうか?
と思っていたのですが、実際、ノート術のベストセラーと思われる原田隆史の本は比較的WOOPに近い形式になっています。
オープンウィンドウ64は、苫米地英人も近いことを行っていたと思いますが、目標からアクションまで複数の経路で落とし込むメソッドですね。大谷翔平選手の名前を使って近頃の書店では平積みにされていますが、それ以前から人気のある著者だと思います。
ということで、DAIGO本の欠点としてやはり実践が弱いというところがありますが、DAIGO本含めて理論的な本と往復しつつ(私もある程度根拠がないと納得できないので)、こうした実践的なコーチングをしている人の本で実際に落とし込む、というのが、よきところなのではないでしょうか。